大判例

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東京高等裁判所 昭和46年(ネ)3258号 判決

特定債権についての停止条件付債権譲渡契約は、条件が成就しない間は、いまだ右債権について譲渡の効果がないとはいえ、右契約の拘束を受け、半ば譲渡者の資産たる性質を喪い、従ってその債権者の一般担保としての性質を喪失しているものであり、又条件成就とともになんら譲渡者の行為を介せずして当然に譲渡の効力を生ずるものであるから、右債権譲渡が詐害行為となるか、否かは、右契約締結時において、その要件を具備していたか、否かによって決せられなければならない(条件成就後、譲渡者が第三債務者に対し譲渡通知をしても、右行為は単に債権譲渡について対抗力を備えさせるにすぎず、これにより他の債権者の一般担保を減少もしくは喪失せしめ、事実上弁済の途を断つものとはいえないから、これをもつて詐欺行為ということはできない。)。しかしながら、本件債権譲渡契約は、契約締結時においては、いまだ譲渡の対象となる債権が特定せず、条件が成就して効力が発生すると同時に譲渡債権も特定するものであって、従って契約締結によっても条件成就までの間は、森田タイル工業の得意先に対して有する売掛金債権は、何ら契約の拘束を受けることもなく、又前記の如く、森田タイル工業の資産たる性質を喪うこともなければ、債権者の一般担保としての性質を喪うものでもない。換言すれば、条件成就までの間は、森田タイル工業の有する売掛金債権は、本件債権譲渡契約によっても何ら妨げられることなく他の債権者の一般担保としての役割を果しており、他の債権者は、右契約により何ら事実上も弁済の途を断たれていないのであって、条件成就によってはじめて譲渡債権が特定し、その時に森田タイル工業の有する全売掛金債権について譲渡の効力が生じ、これにより他の債権者の一般担保としての性質を喪うに至るのであるから、右債権譲渡が詐害行為の要件を備えているか、否かは、前記条件が成就して、譲渡債権が特定した時期を基準として判断し、たゞ森田タイル工業及び控訴人の善意もしくは悪意の主観的要件については、契約締結時を基準として判断するを相当とする。又右条件成就の時に被控訴会社の有していた債権に基づいて詐害行為の取消しを求めうると解する。

(石田哲 小林 関口)

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